こんにちは、トウゴです。
以前に「リカラーやってみた話」でお会いした方はお久しぶりだね。
俺は今何故かStrangerVilleのだだっ広い空き地でテント暮らしをさせられてる。
プレイヤーは「建築が苦手だから」とか言うけど、単にケチなだけなんじゃないかな。
今は春だから良いけど、雪のちらつく季節になったらと思うと正直怖い。
その頃には掘っ立て小屋くらいは建ててくれるだろ、って信じてるけど……もし何もしてくれなかったら画面の外まで殴りに行っちゃうかも。
うちの周りにはヘンな植物が生えている。
それは別に良いんだけど見てくれよ、奥の茂みとシャワー。
あんな所で用を足せって?冗談じゃない。
最低限のご近所付き合いくらいはしようと思うけど、何故か少し家を空けて帰ってきたらいつも変な女に家を覗き込まれてるし。
……いや、ごめん。家と呼べるものなんか無いんだけどさ。
とにかく!あんな場所でシャワーを浴びるのだって本当は嫌なんだ。
外には気味の悪い奴らが歩き回ってる。
ちょっと話しかけたら急にこっちを覗き込んで意味の分からない奇声を上げるんだ。
「まザーの巣ハ 我ラにハまバゆ過ギる 美ニ包まレてイる……」
昨日も夜中に本を読んでたら気味の悪い女が歩いてきた……。
一刻も早く家が欲しい。
壁と鍵のかかる扉があるだけでも俺の精神衛生上はかなり助かるんだ。
今朝は仕事で昇進したから、ボーナスにスプリンクラーを貰えた。
一応現金支給もあったけれど、剪定師の給料なんてたかが知れてる。
ガーデニングは好きだから、正直スプリンクラーは嬉しかった。
うちには娯楽は本とイーゼルくらいしかないからね。
たまに火事が起こるけど、俺の家には壁も天井もないからこっちにはスプリンクラーは無いんだ。
今の所俺は無事だけど、このデータには俺以外の「マイシム」は居ないらしいから、プレイヤーは毎回冷や冷やしてるらしい。
だったら掘っ立て小屋で良いから、家を建ててくれってのにさ。
はぁ……、椅子くらいは買い換えられるけど、マイホームの為の資金と思うとそれすら惜しいよ……。
俺もプレイヤーと同じでどケチなのかな。
この町の奴らはなんだかおかしい。
俺が本当の意味でそれを知ることになるのはもう少し後のことになる。